里地ネットワーク 建築再生事例集  表紙へ戻る  次の事例へ
土蔵の喫茶 MOMO
秋田県山本群二ツ井町

●蔵の再生●民間建築物●1930(昭和5)●71歳

 今回扱った事例は、大型の公共建築から小さな個人の建物まで様々な例を含んいて、また用途についても建物そのものが展示品となっているケースから、現在まで人が住んでいるなど実用的に利用されているものまで、多種多様な例を見ることができた。その中でも特に魅力を感じたのがこの建物だった。
 土造りの蔵というものは現在では少なくなっているとはいえ、特別珍しい建物ではないので、建物の所有者、使用者次第で簡単に壊されたり、元の姿からかけ離れた様に変わってしまうことも有り得た。しかし現在のMOMOのオーナーは土蔵の内部の空間に一目で惹きつけられ、改修に取り掛かかった。改修工事は人任せの設計ではなくて、身のまわりの人たちの力で行い、元の空間をいっそう生かすことができた。その結果、今でも地元の人たちに利用される喫茶店として生き続けている。


 他の写真を見る  図面を見る

詳細
所有者の変遷 個人
設計者、施工者、
その他情報
様式、特徴 外壁をおおっているツタが土蔵を守りながら、若葉や紅葉や、あざやかに季節を表現してくれる。
構造 木造
建物の使われ方 個人所有の土蔵(10坪)を喫茶店として改装。普段は1階を使い、2階は予約のあつまりやイベント(陶芸展、絵画展、手工芸展など)に使用。20人ほどを集めてお話会を開いたりもした。喫茶店は女性客が多い。
年間利用者
歴史、変遷 ・建築当時、他の土蔵とは異なる丈夫な工法で基礎を施工したため昭和10年頃の大地震のとき、周りの土蔵は崩れたが、ココだけが残った。80年代に起こった日本海中部沖地震の時も、まったく被害がなく、構造の面では丈夫さが保障される。改修時にも特に構造の補強はしていない。
・土蔵を改修した珈琲店が立ち退いた後、再び改修を施して現在の喫茶店になった。
地域の思い 土蔵のもつ落ち着いたふんいきやあたたかみを活かしたイベントや集まりを企画して喜ばれている。建物として見に来て下さるお客さまも多く、太いハリや天井板の上一面に敷き詰められている笹の葉を天井板のすき間から見てもらったり、昔の建物の工夫を見てもらっている。
再生の目的
保存・再生活用
に至る経緯、
地域の意見
土蔵の持ち主には財産的価値のない建物であったため、取り壊すとも、改修するともなく残っていた。金銭面では理解があったため、現在のオーナが内部の空間に惹かれ、友人の設計士のラフデッサンのもと、地元の大工さんの手により改修された。オーナー自身も工事を監督し、始めに感じた空間の魅力を出来るだけ残すようにした。
手本事例
機能・用途の変更
のための
改修操作
・改修に当たって、土蔵のあたたかみをなくさないように、建物の内部に木を多用した。床を木で張り、カウンターは天然杉(厚さ6cm、幅60cm)を使用。他テーブルや椅子、棚なども木製を心がけた。併設している厨房部分も杉板を使った。
・外回りのの枕木の階段、丸太の柵などを土蔵の様子に合わせて補修。
・外壁は建築当時のままだが、ツタを周囲に這わせることで、風や雨から守っている。冬は落ちてしまうが、5月-11月は、建物の外観を彩り、飾ってくれている。
・以前の所有者が、土壁の内壁を白く塗ってあった。今のオーナーの時に、もう一度きれいに塗りなおした。
・2階には窓があったが、1階には窓がなく、飲食店としての利用に適さないため、壁を崩し、2ヵ所に窓を新たに設置した。
・蔵の外に1つだけ付いていたトイレを2つにし、整備した。
・カウンターの位置を変えたことにともなって、設備面の改修も行った。
・階段の手摺を補修した。
法規クリアの
ための改修操作
建築の歴史や
記憶を残すために
保存したもの
改修にあたって
現場で発見した
苦労など
改修当時の
法規との関係
クリア
文化財等の指定
事業費 約3,000,000円
補助金
改修後の声/
今後の展望
・雨漏りがあったので補修工事を行った。
・トイレの雨漏りについては、ホームセンターでトタン板を購入し、かぶせて補修した。
・土蔵がこぼれ落ちたりしていたんできても補修ができなく、素材がちがうものでとりあえずおさえている。
・2階の板戸を動かすと、振動で内壁が崩れる。
・遠方より来た方を連れてきたり、土蔵の雰囲気を味わいに来るお客さんも多い。
・コンサートなどを開く提案も何度かあったが、吹き抜けや中央の階段といった元の建物の計画上、なかなかうまく利用できなくて思案している。建物の雰囲気を生かしたコンサートなども開いてみたい。
その他
参考資料
           
 表紙へ戻る 里地ネットワーク 建築再生事例集  次の事例へ