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金沢市民芸術村


●近代化遺産●公共建築物

 古都金沢の街並からはすこし離れた所にある金沢市民芸術村。煉瓦造の紡績工場を平面を保ったまま保存再生するのではなくて、あくまで素材として扱って全く新しい建物として再生している。そのため、新しい煉瓦がかなり入っているが不思議と違和感がない。また中の空間を作っているものが黒く塗られた鉄や、藁入りの土壁等、工夫をこらして落ち着きのある雰囲気である。

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詳細
所有者の変遷 民間→金沢市
設計者、施工者、
その他情報
様式、特徴 敷地面積約97,000平方メートル 戦前に建てられた紡績工場の倉庫群。RC造、レンガ造が主構造である。倉庫は6楝、大正末期から昭和初期にかけて別々に建設された大きさも形も異なるものであった。内部の木造軸組が堅牢で美しく林立していること、外周壁が脆弱であること、施工精度の荒いガランとした単純箱型であることが共通していた。
構造 軒高の高い倉庫はRC造、低い倉庫はレンガ造
建物の使われ方 芸術村には、マルチ、ドラマ、ミュージック、アートの4つの工房とオープンスペース・里山の家がある。マルチ工房は演劇、音楽などの練習に使われている。ミュージック工房はスタジオが6つあり練習、発表の場に使われている。アート工房は美術作品の製作、展示に使われている。オープンスペースは誰でも自由に入ることができる。年中無休であり24時間いつでも自由に使える。各工房に2人のディレクターがいて、市民による運営を行っている。
年間利用者
歴史、変遷 もともとは大和紡績という民間の紡績工場だったが、平成5年に閉鎖された。その跡地を金沢市が買い取り、平成6年8月に再利用に関する調査検討チームを設けた。
地域の思い 大和紡績があったころ、構内のグラウンドで盆踊り大会が行われた。この工場で働いていたのは全員女性であった。紡績工場時代から桜の名所であった。
再生の目的 地域活性化、地域コミュニティーの再生。
保存・再生活用
に至る経緯、
地域の意見
倉庫を撤去する1週間前に、現場を視察した山出市長が解体工事に疑問を抱いた。この建物は残した方がいいと直感的に判断をした。そして、倉庫の再利用について演劇関係者をはじめ、各分野の人に相談した。建築家・水野一郎氏も「生き長らえさせて、活用してみてはどうか」と、提案した。
手本事例 ハード:長崎県佐世保の米軍基地。 ソフト:石川県金沢市大野町
機能・用途の変更
のための
改修操作
外部:外周壁の耐震補強を各工房室間の性格や用途に合わせてそれぞれ異なる方法で解決を図り、ドラマ、ミュージックの両工房には強い遮音対策を施した。バラバラな6楝を繋ぐため、コロネードを通し、その前に池を設け、屋根雪の処理を担わせた。
内部:床面を階段状につくり、階下にトイレや倉庫を収容。
法規クリアの
ための改修操作
人の集まる場にするため、消防法のクリアのための操作を行った。24時間利用について、管理する側から考えると負担が大きい。これを解決するために民間のディレクターを登用した。
建築の歴史や
記憶を残すために
保存したもの
建物の中で一番歴史を思わせる天井の梁の部分に人が近づけるように、倉庫群の真ん中を誰もが入れるオープンスペースに当て、そこに階段状の客席を設けた。これによって階段状の客席の一番上にいる人にはその真上がすぐに天井となっている。またこれによって、トイレや倉庫をその客席の下に組み込むこともできた。
改修にあたって
現場で発見した
苦労など
改修当時の
法規との関係
文化財等の指定
事業費 約180,000,000円/用地費約1200,000,000円/広場整備費約200,000,000円
補助金
改修後の声/
今後の展望
・もう少し練習場が欲しい。
・複数の劇団でつくったセットを再利用するためにそれらのセットを保管する倉庫が欲しい。
その他 平成9年 グッドデザイン大賞受賞
参考資料 ・「アクタス」
           
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