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米原町醒井宿資料館(旧醒井宿問屋場)
滋賀県坂田郡米原町醒井原町醒井123

●宿場町の問屋場●公共建築物●1650-1700頃

 醒井(さめがい)は古くから交通の要所であり、江戸時代には中山道61番目の宿場町として栄えた。醒井の名の由来となる「居醒の水」が流れる地蔵川はさすがに澄んでいて、ハリヨという珍しい魚も住んでいる。この川に沿うように街並みが続いているのだが、見渡すとプレハブ住宅をはじめ、新築の建物が目立つ。川沿いに見事な街並みが残っていた時代を想像するとやはり残念に思えた。駅前で、地元の方に街並みの残る場所を尋ねたとき、「大したものじゃあないよ」と付け加えられたのもなるほどと思えた。それでも、ヴォーリズが携わったという旧郵便局舎やこの問屋場、他にも明治時代から続く醤油屋喜代治商店など、残った建物も多く、伝建地区の指定を目指しているそうだ。この問屋場は、旧郵便局舎と合わせて資料館となっている。築300年を超えるためさすがに新しい部位も多いのだが、わざと古く見せるような補修の仕方ではなく、新しい部分はそれと分かるような補修が行われていた。夕方5時になると、もう1つの資料館、旧郵便局の管理をしていたおじいさんが自転車でやってきて戸締りをして帰っていくのが妙に微笑ましかった。

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詳細
所有者の変遷 川口家→米原町
設計者、施工者、
その他情報
様式、特徴 文書や軒札等が残っていないため詳細は不明である。しかし建築部材の仕上げが手斧仕上げであったり通し柱が多いなど、江戸時代でも古い様相を呈している。
構造 木造
建物の使われ方 一般公開
年間利用者
歴史、変遷 この建物は中山道醒井宿で問屋を営んでいた川口家住宅の一部である。問屋とは宿場を通行する大名や役人に人足や馬の提供、荷物の積替えなどの引き継ぎ事務を行っていたところである。現在、全国的に見ても宿場に問屋の建物が残されているところは、ほとんどなく、大変貴重な建物である。江龍文書の中に残されていた享和4年(1804)の宿絵図から、当初は現在の建物の南側にさらに家屋が続いていたことが判明した。また平成10年度に実施した発掘調査からも、建物が南側にのびていたことが確認された。建物の創建時代については、おおよそ17世紀中?後半と推定される。
地域の思い
再生の目的
保存・再生活用
に至る経緯、
地域の意見
所有者側は解体し、さら地にすることを考えていたが、教育委員会としては文化的価値の有るこの建物を残そうとしていた。町指定文化財に指定されたため所有者の理解が得られた。
手本事例
機能・用途の変更
のための
改修操作
一度解体した後、修復工事をすすめた。なるべく元の材を使用した復元。門は新設、真壁についての漆喰塗り直しなどを行った
法規クリアの
ための改修操作
制度的に補強を行ってしまうと文化財としての価値を失ってしまうことになる。構造に補強は行ったが、実際の法制度では通らない。資料館施設が、同じ字の中の別の場所にもある。こちらは管理人を置くことができたが、当物件については、無人とせざるを得なかった。そのため、展示ケースを並べて展示物を置くという通常の展示が不可能である。建物自身が展示物であるというコンセプトにせざるを得なかった。
建築の歴史や
記憶を残すために
保存したもの
そのままの姿
改修にあたって
現場で発見した
苦労など
改修当時の
法規との関係
文化財等の指定 町指定文化財
・利点/指定されたことによって所有者の理解を得て、保存することができた。
・不利点/現行建築基準法との兼ね合いの中で、耐震性などクリアしてほしいラインをクリアしていないことに不安が残る。
事業費 140,000,000円(旧醒井郵便局局舎工事含む)
補助金 個性ある町づくり事業補助金
改修後の声/
今後の展望
・学芸員、管理人が確保できていない点でセキュリティー面での不安が残る。
・現在、修理工事のための基本調査を行っている。また報告書をまとめた段階で、伝建地区の指定を受ける予定。
その他
参考資料
           
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